うつ病と判定されないまでも、心に歪を抱えた人は多い現代。
うつ病は「こころの風邪」とまで言われます。
しかし、現代では様々な治療法が確立されています。
うつ病を乗り越え、生き生きとした毎日を取り戻しましょう。

日本精神医学が抱える問題点

うつ病の罹患率が増えている現状のなか、日本は、世界でも有数の精神病院数と入院患者のいる国であることをご存知でしたか? 

現在日本は、以前に比べ、保険点数におけるメリットが減ったことから、「社会的隔離」を目的とした精神疾患の入院は多少減少しました。
しかし、現在でも実際のところ、患者さんの症状が快方に向かっているにもかかわらず、入院したままの状態の患者さんはたくさんいます。
家族や社会が受け入れを拒否し、入院が長期化しているのです。

うつ病をはじめ、精神病患者に対する社会の偏見がいかに根強いかは、大規模な疫学調査による重症患者の未治療率からも示されています。
精神病患者は、狂っているのでも、危険でもないのです。でもこのような考えが社会にいまだに横行している現実は悲しいものがあります。
退院できる状態にまで快復したにもかかわらず、「いっしょう、入れたままにしてほしい」「もどしてほしくない」という言葉が家族から聞かれることが多々あるのです。

現在日本では、何もかもを「心の問題」としてとらえて、精神医学に頼りすぎる傾向があります。
製薬会社の利益を上げるために、新たな患者が創作されてしまうという問題も指摘され、経済的な利潤システムに精神医療も組み込まれていることも問題化しています。
これらの未解決な問題のなか、今、精神医学はさまざまな方向性と新たな課題を抱えているのが現状です。

うつ病バスター

うつ病バスターカテゴリー項目一覧

1.うつ病とは

うつ病とその含有率 うつ病と気分障害、統合失調症、パニック障害 うつ病の症状 うつ状態の分類

2.うつ病の原因

うつ病の原因 心理学的成因仮説 根拠に基づいた医療と日本精神医学の問題

3.主な治療法

心理療法 主な薬物療法と抗うつ剤使用の注意点 音楽療法 子どものうつ病治療 治療の判断と選択






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うつ病バスターのおすすめ!

うつ病の原因

どうして人はうつ病を発症するのでしょうか?
うつ病の成因論には、生物学的仮説と心理的仮説があります。しかし、いずれにしてもそれでうつ病の発症をすべて説明できるものではありません。また、明確な結論が得られているわけでもありません。
3つの立場からの仮説:

●生物学的仮説
●心理学的・精神病理学的仮説
●認知療法の立場

生物学的仮説

生物学的仮説としては、モノアミン仮説や、MRIなどの画像診断所見に基づく仮説などがあります。モノアミン仮説というのは薬物の有効性から導かれたものです。モノアミン仮説のなかでは、特にセロトニン仮説がよく語られます。

これは近年のSSRIとよばれるセロトニンの代謝に関係した薬物の売り上げ増加に伴うものです。そのほか近年では、海馬の神経損傷も語られることもあります。ただし、臨床的な治療に大きな影響力を及ぼすほどの生物学的な基礎研究は行われておらず、決定的な結論を得られるまでにはいたっていません。

心理学的・精神病理学的仮説

心理学的・精神病理学的仮説のなかで有名なのは、テレンバッハのメランコリー親和型性格に関する仮説です。

メランコリー親和型性格というのは、几帳面で生真面目、小心な性格を意味し、この性格をも人は、責任範囲が広がったとき、たとえば、職場での昇進などですが、そうしたときに何もかもきちんと完璧にやらなくては、とい思いから無理を重ね、うつ病を発症するというのがこの仮説です。もちろん、この仮説だけですべてのうつ病を説明できるわけではありません。

認知療法の立場から

これは、その人の人生経験において否定的な思考パターンが固定化しているというものです。それはうつ病の発生と関連があるのではないか、という仮説です。


なぜうつ病を発症するのか、という成因論についてはいくつかの仮説が挙げられています。そのなかで、MRIなどの画像診断の進歩に伴い、近年話題となっているのが、うつ病の生物学的仮説のなかの神経損傷仮説です。

海馬というのは、脳の部位の一部で、海馬体と呼ばれることもあります。タツノオトシゴ(海馬)に似た形をしていることからこのように呼ばれます。記憶は、感覚記憶、短期記憶、長期記憶の3つに大きく分類され(スクワイアの記憶分類モデル)、海馬はこの短期記憶をつかさどる部分です。

うつ病においては、脳の海馬領域での神経の損傷が存在するのではないか、という仮説です。そしてこの海馬の神経損傷の基盤には遺伝子レベルの問題が存在するといわれています。

その他、海馬の神経損傷の原因として心的外傷体験をあげる仮説もあります。これは幼少期の心的外傷体験をもつ症例で海馬の神経損傷が認められるという研究結果から導かれたものです。そしてその損傷がうつ病発症の基盤となっているとする仮説です。

しかし、実際、成因論というのは学問的には関心があるでしょうが、臨床の場における有用性には限界があります。なぜうつ病になったのか、ということよりも、どうしたらその状態を改善できるのか、またはどのようにしてその状態とつきあっていったらいいのか、ということを問うべきではないかという意見もあります。今できることを模索していくことが大切といえるかも知れまません。


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なぜうつ病を発症するのか、を説明する成因仮説としては、生物学的仮説や美認知行動の立場からなど、さまざまな仮説が唱えられています。

心理学的仮説もそのひとつです。心理学的仮説の主なものに、病全性格論があります。病前性格、つまり発症前の本人の性格がうつ病にかかりやすくしているという仮説です。たとえば次の3つの性格が挙げられています:

●メランコリー親和型性格
●執着性格
●循環性格

メランコリー親和型性格

ドイツの精神科医テレンバッハが提唱する性格です。秩序を重んじ、几帳面で律儀であり、生真面目、融通が利かない、という特徴を持ちます。この性格の持ち主は、反復性のないうつ病を呈するといわれます。

執着性格

日本の下田光造が提唱した性格です。仕事熱心で几帳面、責任感が強いなどの特徴を持ちます。このような病前性格を持つ場合、反復性のうつ病、または躁うつ病を発症する可能性が高いとされます。

循環性格

クレッチマーが提唱する性格です。社交的で親切、しかも温厚な性格です。しかしその反面、優柔不断で決断力に乏しいために、社会のさまざまな場面で板ばさみにあいます。躁うつ病の病前性格のひとつではないか、といわれます。

ただし、うつ病の概念や、社会状況は変化するのなか、実際にはこのような性格に該当しない人たちのなかにもうつ病を発症する人が増加しています。したがってこのような性格を持っているというだけではすべてのうつ病の発症を説明できないことは明らかでしょう。


冬の寒い時期には誰でも、気分が滅入ってしまうものですが、高緯度地方に多く、冬季にうつ状態に陥るもので「季節性うつ病」があります。

季節性情動障害(きせつせいじょうどうしょうがい)で、主に冬期にのみ抑うつ的な気分に陥り、食欲の低下、不眠など、うつ病に似た症状が出ます。季節性気分障害、季節性感情障害などと呼ばれます。患者の大部分は、冬以外の季節には正常な状態となることが多いのが特徴です。

季節性うつ病は、日照時間の短いと発症すると考えられます。主に冬において、高緯度地域に発症率が高いのもそのためでしょう。原因についてはまだはっきりとはわかっていませんが、脳にある小さな内分泌器である、松果体(しょうかたい)で作り出されるメラトニンというホルモンが、日照時間が短い冬に過剰となり、それがうつ病の症状を引き起こすといわれています。

人におけるメラトニンの血中濃度は、昼に低く夜に高い、概日リズム(サーカディアン・リズム)を示し、睡眠と関連しています。季節性うつ病では、このメラトニンが過剰となることから過眠や過食の症状が現れることがあります。メラトニンはアメリカでは栄養補助食品サプリメントとして、販売されており、安価で購入できます。不眠治療として用いられるのです。

メラトニンは、暗いところで多く生産されることから、季節性うつ病に対しては、外出を増やし、日光に多く当たることが有効です。光療法といい、太陽光または人工光を浴びる治療法が勧められます。そのほか薬品による治療法も存在します。

現在、医学の分野で問題となっていることに「根拠に基づいた医療」ということがあります。「根拠に基づいた医療」EBM:evidence-based medicineとは、「良心的に、明確に、分別を持って、最新最良の医学知見を用いる」conscientiousmexplicit,and judicious,use of current best evidence 医療のあり方をさします。

理論や経験、あるいは権威者の判断に頼っていた従来の医学を反省し、治療効果、副作用、予後の予測などの臨床現場における疑問について考えていくというものです。なるべく客観的な疫学的観察や実験を根拠とし、患者といっしょに治療方針を決定していくことを目指すものです。

精神医学の分野においても、この「根拠に基づいた医療」の重要性が着目されています。

治療介入とその結果の因果関係を明確にし、治療介入を行うことの有効性を評価していくのです。ただし、評価の元になる結果は、数値で表すことのできる生体データが主となります。

これは他の医学領域では可能でも、精神科領域では困難なことが多いのが実際です。そのため重症度を評価する評価スケールの点数や、自殺の有無、入院期間を治療結果を示す客観的データとして用いています。

うつ病の評価に用いられる評価尺度としては次のものがあります:

●ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)
●ベックうつ評価尺度(BDI)
●モンゴメリー・アズバーグうつ病評価尺度(MADRS)など

また、現在精神医学で行われている治療法には次のものがあります:

●脳に直接作用する治療
薬物療法、電気けいれん療法、経頭蓋磁気刺激、光療法、断眠療法、脳深部刺激療法
●言語のやり取りを主とする治療
来談者中心療法、精神分析療法、家族療法、集団精神療法、認知療法、心理教育など
●非言語的なやり取りを主とする治療
作業療法、自律訓練法、動作法など
●社会的な治療
家庭環境や職場環境の調整、ジョブコーチ、訪問看護、デイケア、自助グループ(断酒会)など


うつ病の罹患率が増えている現状のなか、日本は、世界でも有数の精神病院数と入院患者のいる国であることをご存知でしたか? 現在日本は、以前に比べ、保険点数におけるメリットが減ったことから、「社会的隔離」を目的とした精神疾患の入院は多少減少しました。

しかし、現在でも実際のところ、患者さんの症状が快方に向かっているにもかかわらず、入院したままの状態の患者さんはたくさんいます。家族や社会が受け入れを拒否し、入院が長期化しているのです。

うつ病をはじめ、精神病患者に対する社会の偏見がいかに根強いかは、大規模な疫学調査による重症患者の未治療率からも示されています。精神病患者は、狂っているのでも、危険でもないのです。でもこのような考えが社会にいまだに横行している現実は悲しいものがあります。退院できる状態にまで快復したにもかかわらず、「いっしょう、入れたままにしてほしい」「もどしてほしくない」という言葉が家族から聞かれることが多々あるのです。

現在日本では、何もかもを「心の問題」としてとらえて、精神医学に頼りすぎる傾向があります。またマスコミが安易に偏見をあおることもあります。医療者も人間であり、完全ではありません。製薬会社の利益を上げるために、新たな患者が創作されてしまうという問題も指摘され、経済的な利潤システムに精神医療も組み込まれていることも問題化しています。これらの未解決な問題のなか、今、精神医学はさまざまな方向性と新たな課題を抱えているのが現状です。

アメリカの操作的診断基準DSM-IV-TR(精神疾患の分類と診断の手引き)によると、うつ病の有病率は、時点有病率(ある時点で過去1ヶ月以内にうつ病と診断できる状態にあった人の割合)は、1.0パーセントから4.9パーセントで、約2.8パーセントという平均結果が出ています。

日本における調査によっても、時点有病率は2パーセントとされます。しかも生涯有病率は6.5パーセントといわれます。

生涯の間に15人から7人に1人がうつ病を発病することから、うつ病とは、誰でもかかる「心の風邪」といわれることがあります。しかし、だからといって、うつ病は簡単に治すことができる、と考えるのは間違いです。

うつ病は、その60パーセントから70パーセントは、6ヶ月程度の治療で快復するといわれます。比較的短期の治療で快復する事症例が多い疾患といえるかも知れません。

しかし、その一方で1年以上うつ状態が続く症例が25パーセント程度あることも忘れてはいけません。必ずしもすべての症状が容易に快復するわけではないのです。また、いったん快復すればもう再発しない症例がある一方で、再発を繰り返す症例があることも確かです。

うつ病の治療法は、かつては電気けいれん療法だけがその効果を証明されていました。しかしその後、抗うつ薬などの薬物療法が発展しています。それでも、うつ病はその成因もさまざまで明らかではないだけでなく、その経過も多様な可能性があることもわすれてはならないでしょう。


うつ病の治療には、三環系抗うつ薬などの投薬治療(薬物療法)とともに、心理療法を併用して行くことが重要であり、また効果があるとされます。

心理療法というのは、うつ病や統合失調症などの精神疾患の治療や心理的問題の解決、また精神的健康の維持と増進を目的とする理論や技法の体系のことです。

臨床心理学の分野では心理療法と呼ばれ、精神医学の分野においては精神療法と呼ばれることがありますが、実際のところ同じものをさすといえます。臨床心理学というのは、心理学の一分野です。一方、精神医学というのは、医学の一分野です。いずれも精神疾患の診断、治療、研究を行います。

心理療法を行うのはカウンセラー、セラピスト、治療者と呼ばれ、心理療法を受ける人はクライエント、患者、来談者といわれます。

精神分析、行動療法、来談者中心心理療法の3つが心理療法の源流とされますが、実際には他にもさまざまな学派が存在します。主な心理療法としては次のものがあります。

●精神分析(力動的心理学・深層心理学)
●行動療法
●来談者中心療法
●フォーカシング
●イメージ療法
●認知療法
●理性感情行動療法(論理療法)
●集団療法
●グループ・アプローチ
●家族療法
●カップル・セラピー
●クリエイティヴ・セラピー
●ナラティブ・セラピー
●短期療法
●遊戯療法
●箱庭療法
●コラージュ療法
●ゲシュタルト療法
●交流分析
●森田療法
●内観療法
●臨床動作法
●自律訓練法
●催眠療法
●エネルギー療法
●グリーフ・セラピー
●プライマル・スクリーム
●絵画療法(例...ライフシンボル)
●回想法

従来、うつ病の治療法としてその効果が証明されていたのは、電気けいれん療法でした。電気けいれん療法は、その効果および安全性から保険が適用されます。

一方、近年のその有効性が臨床的に科学的に実証されてきているのが、薬物療法です。つまり抗うつ薬の投薬によるものです。

抗うつ薬というのは、主としてうつ症状の緩和を目的として用いられる薬剤です。うつ病・うつ症状のほか、パニック障害や強迫性障害、摂食障害にも用いられます。不眠や慢性疼痛に対しても用いられることがあります。

抗うつ薬が効果を示す理由として、それがセトロニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどの神経伝達物質に作用するからであるとされます。

主な抗うつ薬には次のものがあります:
●モノアミン酸化酵素阻害薬(MAO阻害薬)
・・・副作用により扱いにくく、現在はほとんど使われません。
●三環系抗うつ薬
●四環系抗うつ薬
●選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
●セロトニン-ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)再取り込み阻害薬(SNRI)
●ドパミン-ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(DNRI)・・・日本国内においては未承認です。
●塩酸ププロピオン(商品名:ウェルブトリン)

その他、
●塩酸トラゾドン(商品名:レスリン、デジレル)
●スルピリド(商品名:ドグマチール、アビリット、ミラドール)
●リチウム塩(商品名:リーマス)

ただし、抗うつ薬を用いるときにはその副作用に注意する必要があります。たとえば、古い世代の薬、三環系抗うつ薬や四環系抗うつ薬の場合、抗コリン作用などがあることから、口が渇く、便秘、目のかすみ、排尿困難などの副作用が出ることがあります。

また、アドレナリン受容体遮断作用からは低血圧、めまいが起こります。抗ヒスタミン作用によって眠気、体重増加が起こります。

新しい世代の抗うつ薬であるSSRIやSNRIでは、排尿困難や眠気といった副作用が軽減されてきたとはいえ、吐き気や性欲減退などの副作用があることは確かです。


副作用以外にも、抗うつ薬を用いる際に注意すべきことがいくつかあります。

●自殺の危険性

抗うつ薬、とりわけSSRIの処方を開始した直後に、未遂も含め、自殺のリスクが高まるという報告があります。なぜそうなるかは、いろいろな説があります。それまであまりにも重症で自殺の意欲すらなかった患者が自殺を図ろうという意欲をもってしまう、という説、あるいはSSRIが受容体のダウンレギュレーションを行うことから、処方を開始直後に一時的にうつ病の症状が悪化する、という説です。

●躁状態の惹起

うつ状態の患者に抗うつ薬を投薬すると、躁状態になるというものです。これは疫学上の反証はありますが経験的に知られています。

そのほか、抗うつ薬を服用すると気持ちが明るくなるということで、抗うつ薬を「ハッピードラッグ」として服用する例が近年、増加しています。前向きに生きる姿勢を促すことを目的としてのことでしょうが、抗うつ薬の作用は非常に複雑であり、深刻な副作用をもたらすこともあります。安易な服用は脳の機能に変調をもたらす危険もあります。必ず、専門医の判断に基づいた処方が必要です。

うつ病の治療、特に内因性うつ病の場合は、その重症度にかかわらず投薬治療が行われるのが一般的ですが、抗うつ薬を用いない治療法もあります。軽症の場合などは特に、カウンセリングといった精神療法のみが用いられることもあります。