DSM-IV-TR(精神疾患の分類と診断の手引き)によると、うつ病の主要症状として次の二つが挙げられています。
●「抑うつ気分」
●「興味・喜びの喪失」
「抑うつ気分」というのは、気分が落ち込み、何をしても心が晴れない嫌な気分を言います。また空虚感や悲しみなどもさします。「抑うつ気分」によく似た症状として、「自分には何の価値もないと感じる無価値感」や、「自殺念慮・希死念慮」があります。
これらの症状をまとめると、「気分が落ち込んで嫌な毎日であり、自分には存在している価値などなく、死にたいと思う」という訴えとなります。
一方、「興味・喜びの喪失」とは、発病前までは楽しむことができていたことに楽しみを見出すことができなくなってしまう、感情が麻痺した状態をいいます。「興味・喜びの喪失」に似た症状には、「気分の低下と易疲労性」および「集中力・思考力・決断力の低下」という状態があります。
これらの症状をまとめると、「何をしても面白くなく、物事にとりかかる気力がなくなり、何もしていないのに疲れてしまい、考えがまとまらず小さな物事さえも決断できない」という訴えになります。
うつ病と診断されるためには、これら2つの主要症状のうち、いずれかが見られることが必須とされます。また、これらの主要症状、および症状グループといった精神症状に加えて、「身体的な症状」もあります。食欲、体重、睡眠、身体的活動性の4つの領域で、顕著な減少または増加が生じるというものです。
食欲がなく体重も減り、眠れなくて、いらいらしてじっとしていられない」あるいは逆に「変に食欲が出て食べ過ぎになり、いつも眠たくて寝てばかりいて、体を動かせない」という訴えとして現れます。
DSM-IV-TR(精神疾患の分類と診断の手引き)では、先の主な2つの精神症状のいずれかひとつと、これらの身体的症状4つのあわせて5つの症状が「死別反応以外のもので、2週間以上にわたり毎日続き、生活の機能障害を呈している」ことが、大うつ病の診断の条件としています。
うつ病とまではいかないまでも、うつ状態は比較的多く見受けられますが、そのような状態がある程度の重症度を呈すると、うつ病および大うつ病という診断になるのです。
ただ、DSM-IV-TR(精神疾患の分類と診断の手引き)の症状のみで判断するのは、客観的で、研究には適しているといえますが、臨床場面では、心理的誘引の評価も不可欠です。むしろこちらのほうが治療的には重要な判断となるといわれています。