★治療の判断
うつ病は、DSMによる客観的な分類では、その症状の程度から、
(1)「大うつ病」(ある程度症状の重いうつ病)と、
(2)「気分変調症」(軽いうつ状態が続く状態)のふたつに分類されます。
一方、臨床の場面ではその成因から
(1)「内因性うつ病」(心理的誘因が明確でないもの)と、
(2)「心因性うつ病」(心理的誘因が特定できるもの)に分けられます。
心理的葛藤に起因しない内因性うつ病の場合、治療方針は一般の病気と同様で、病気であることを本人と家族が認識し、気持ちをゆったりもって養生し、薬を飲んで快復に努めることが大切です。
内因性うつ病は、気持ちのもちようで変えられるものではないからです。内因性うつ病の場合は、その重症度にかかわらず薬物療法がとらえます。
一方、心理的葛藤に起因すると思われる心因性うつ病の場合は、その原因となった葛藤を解決し、環境を改善するなどの対応が必要です。場合によってはその誘因を取り除くとたちまち症状が改善することもあるのです。
ただし、そのうつ病が内因性のものか、心因性のものかを判断するのはかなり難しいのが現状です。精神科医の助言に従うことが大切です。また、入院するのか、それとも外来で治療を進めていくかの選択は、症状の重症度の判断が重要です。
うつ病は単なる心の風邪として軽くみることはできません。特に、本人に希死年慮や自己否定傾向が強い場合には、家族や周囲の人たちが速やかに本人に、専門の医師の受診をさせることが重要となります。
★治療の選択
かつてうつ病の治療といえば、電気けいれん療法しかその効果が証明される治療法はありませんでした。しかし現在では、さまざまな治療法が確立されつつあります。主なものには次のものがあります。
(1)電気けいれん療法(ECT)
電気けいれん療法というのは、頭皮の上から電流を通電し、人工的にけいれんを起こす事で治療を行うものです。近年、薬物療法が発展し、その効果が認められつつありますが、薬物療法の場合、その効果が現れるまでに1週間から3週間ほど服用を継続する必要があります。
また、実際、効果が認められない場合もあります。
そのような薬物療法が無効な場合や、自殺の危険が切迫している場合などには、即効性のある電気けいれん療法が行われることになります。有効性・安全性ともに高い治療法であることから、保険診療でも認められています。
(2)経頭蓋磁気刺激(TMS)
経頭蓋磁気刺激は、頭の外側から磁気パルスを当てることで脳内に局所的な電流を生じさせ、脳機能の活性化を図る治療法です。ただし、保険は未承認です。
(3)薬物療法
臨床的に、うつ病に対する抗うつ薬の有効性は科学的に実証されています。ただし、即効的ではないことから、1週間~3週間の継続的な服用が必要となります。
(4)認知行動療法
認知行動療法というのは、外界の環境をどのように認識するかによって感情や気分をコントロールしようという治療法です。抑うつ的な気分の背後にある認知のゆがみを自覚し、是正することを目的とします。
(5)精神療法
いわゆる「カウンセリング」と言われるものです。
(6)その他
実験的段階にあるものや、限定的に行われる治療法として、断眠療法、光療法、運動療法、音楽療法などが行われます。